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サポートアスリート池本選手にきく海外シクロクロス事情~2018 [後編]

BIORACER_Japanでは、海外の舞台にチャレンジしているアスリートをサポートしています。シクロクロス競技の池本真也選手(和光機器-BIORACERチーム)は、2017年の年末から恒例のオランダ遠征に行かれるなど、今年も精力的に海外へ挑戦し続けています。池本選手が海外遠征を経て感じたことを語っていただく後編では、海外レースでのカテゴリーやレース環境、日本のシクロクロス運営などについてお話いただきます。

Q7.今年参戦した海外レースは、昨年と何が異なりますか?

今回はマスターズ40+のカテゴリーに参加しました。国内レースで全く走れてなかったため、エリートで走ったとしてもレース展開に絡めず、完走も厳しいと状況だと考えました。最低でも完走できるくらいのカテゴリーを選ばないと、体力やモチベーションが落ちてしまいます。レースを走る上で自分の実力に合ったカテゴリーを選ぶ事が大切です。今回は自分の年齢と実力を考えてマスターズ40+で走る事にしました。

Q8.オランダのナショナルレースのカテゴリーについて教えてください。

オランダのナショナルレースは年齢別で大まかに分かれていますが、参加するカテゴリーは実力別ではなくて自己申告です。日本の管理された実力別カテゴリーとは違って、ファンとして楽しむにも、実力がないとかなり厳しいです。

◆ オランダナショナルレース 男子のカテゴリー/競技時間
ニューウェリンゲン: 15-16歳 /30分
ジュニア: 17-18歳  /40分
エリート/プロ: 19歳~   /60分
アマチュア :19歳 ~  / 40分
マスターズ40+: 40-49歳 / 40分
マスターズ50+ :50歳~  /40分  ※マスターズ40+と混走が多い(表彰も)

自分もヨーロッパのレースは、ジュニア ⇒ U23 ⇒ エリート/プロ ⇒ マスターズと走ってきました。参考までに、12/24のBoxtelのナショナルレースの結果を見ると、エリートに出場した日本のトップクラス2選手が15-20位くらいでトップと同一周回で完走出来るか出来ないか?のギリギリのラインという厳しさです。エリートの参加者は30人くらい。おそらく、ナショナルレースのエリートで優勝する選手が、ベルギーのUCIトップレースに参加したら20位くらいかな?と思います。

また、エリートの下のカテゴリーのアマチュアでトップを走る選手の実力は、エリートで5位前後の成績かと思います。去年アマチュアで参加していたエディ・ファン・アイゼンドーレンは、今年エリートで優勝しています。アマチュアの参加者は50-60人くらいです。

マスターズ+40は、アマチュアよりラップタイムが速かったりします。シクロクロスやロードレースで世界の頂点で活躍した元トッププロ選手も参加しています。参加者は50-60人くらい。今回の遠征で自分が参加したのもこのカテゴリーです。

海外と日本のシクロクロス環境の違いについて

Q9. ここからは、選手やレース環境について教えてください。先日の宇都宮シクロクロスで優勝したスペインのシクロクロスチャンピオンFelipe Orts Lloret選手も、普段から食事の内容や取り方や身体のケアに細心の注意を払っていました。池本選手から見て『海外の選手はここが違う』と感じる点を教えてください。

今回はマスターズ40+に参加したのでトップ選手の取り組み方などを見る事は出来ませんでした。しかしマスターズの選手を見ていても日本の選手とは取組み方が違います。日本の選手のように、レースの何時間も前に会場に来てダラダラ過ごしたり、レース前後に寒い外で長話をしている選手はいません。オランダではそんな事をしていたら風邪を引いてしまいます。早く来ても2時間前に会場入りして、受付、試走を済ませてレースを走ります。段取りが良くないと、かなり慌ただしいです。

1/6 Huijbergen 18位で得た賞金

レース後はサッカー場等の更衣室が使えるので、泥レースの後でも温かいシャワーを浴びる事が出来ます。受付がカフェの場合が多いので、レース後にはゼッケンを返却して、20位まで貰える賞金を受け取ったら、その賞金で温かいカフェでコーヒーを飲んで談笑して帰る感じです。より良い結果を出す為にレースに参加しているのか?イベントに参加しているか?の違いがあるかと思います。

Q10. 受付のカフェでコーヒーを飲んで帰ったり、シャワー設備があったり、とても日常的で参加しやすい環境ですね。日本でもシクロクロスの人気が高まり、宇都宮シクロクロスもUCI公認レースとして開催されました。日本のシクロクロスのレース環境も年々より整備されてきているかと思いますが、日本各地にシクロクロスが根付くために、どのようなことが必要と思われますか?

年々レースの数は増えてきましたが、参加費も比例して年々高くなってきています。一方、オランダでの参加費はとても安くて2ユーロ。高くてもオランダのライセンスを持ってないからとの理由で20ユーロでした。

毎週のようにレースに参加しなければ選手は強くなれませんし、経験を積む事ができません。ここ近年は日本でも国内各地でUCIレースやJCXシリーズが開催されていますが、参加費、交通費、宿泊費と経費が多く掛かり選手の負担が大きいため、継続して参加していく事が難しい状況です。オランダのように自転車レースが無理なく日常の生活の中で行われて、継続して行ける環境でないと、主催をする方も、選手も、応援する方も、続けていく事は難しいと思います。

Q11.少しでも現状を変えていくためにできることはあるでしょうか?

オーガナイザー、審判、選手、各チーム、ナショナルチームなど、色々な立場があり、それぞれに意見があると思います。現在は各立場の人々が個別に前を向いて活動していますが、この先、日本のシクロクロスにはなにが必要か?何をしていくべきか? 各ポジションの人々とのコミュニケーションを取る機会がまず必要です。

Q12.最後に池本選手の今期の目標と、来季の目標や課題を教えてください。海外遠征で目標であった『賞金圏内の20位以内』を達成したり、追い込んだ走りができたことで、残りのシーズンのモチベーションにつながったり、新たな課題や目標を見出すことができたでしょうか?

まずはレースを楽しむ事です。まだJCXシリーズなどがありますが、自分に嘘なく参加したいレースに出てモチベーションの高い走りをしたいです。来季に向けては引き続きオランダのレースにチャレンジしたいです。この遠征でマスターズ40+の楽しさを知りました。今回マスターズのレースが参加選手のレベルや実力どういったものか?分からないまま参加しました。13位が最高位でしたが来季はトップ10入りした走りがしたいので、ここから逆算してトレーニングやレースに取り組んでいきたいと思います。

前編はこちらから>>


シクロクロスがより日本に根付き、海外で日本人選手が活躍するために何が必要なのか。オランダのレース事情を伺うと、シクロクロスが日常的にあり、走る楽しみや喜びが身近にあることを実感します。本場のお話を伺うことで、よりシクロクロスという競技に魅力を感じるだけでなく、日本でより盛り上がりをみせるためにどうしたら良いのかを考えさせられます。

また、新たなカテゴリーへの挑戦から、来年の新たな目標を見出した池本選手。残りのシーズンの熱い走りに期待するとともに、挑戦し続ける池本選手の背中を追う若手選手の登場を期待したいと思います。今回も、海外事情を熟知している池本選手ならではのお話を伺うことができました。本当にありがとうございました。


池本真也(イケモト シンヤ)

神奈川県横浜市出身 39歳。

高校からレース活動を初め、シクロクロス、ロードレースで入賞する。高校卒業後にオランダへ自転車留学。このころからシクロクロスをメインに活動、1996からはオランダやベルギーにシクロクロス遠征に出かけ、ワールドカップ、スーパープレスティージ、GVAシリーズを転戦。その後Team NIPPOでロードレースをメインに活動し、日本国内の実業団レースや、オランダ、ベルギーでの海外レースでの入賞経験を持つ。2017年は和光機器-BIORACER所属、シクロクロスをメインに日本国内外で活動中。


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