8月2日からスペイン北部で開催されている5日間のステージレース「ブエルタ・ア・ブルゴス(UCIヨーロッパツアー2.HC)」の第4ステージで、トレーニー(テスト生)として、今大会からNIPPO・ヴィーニファンティーニに加入した小林海選手(こばやし・まりの)が逃げに乗り、活動拠点とするスペインのレースで存在感ある走りを見せました。
小林選手は3級山岳ポイント、2つの中間スプリントポイントを2位通過し、順調な走りを見せましたが、ゴールまで30km地点の3級山岳で、逃げ集団から2選手がアタックをかけたことにより先頭集団は崩壊し、集団に吸収されました。そして、残り10km地点で先行していた2選手も集団に吸収されると、ゴールスプリントの展開となり、テクニカルな石畳が敷かれた上り坂のフィニッシュを、ジャパンカップでの優勝経験があり、日本でも知名度の高いネイサン・ハース選手(ディメンションデータ、オーストラリア)が制し、NIPPO・ヴィーニファンティーニはエドワルド・グロス選手(ルーマニア)が8位でフィニッシュしました。日本人選手の山本元喜選手は126位、小林海選手は141位という結果でした。
小林海選手のコメント
昨日も逃げにトライしたが、まったく無理だった。今まで(アマチュアレース)は雑に脚を使えば逃げに乗れたけど、ここではそれができない。そのため、今日は狙いを定めて、一発でいきたいと思っていた。3選手が先行したタイミングでルームポットの選手がブリッジをかけようとして、集団の動きが一瞬止まったので、その様子を見て飛び出し、2人でブリッジをかけた。前も踏んでいたなか、なんとか追いつけたものの、集団が常に20秒差くらいで追ってきており、完全に逃げが決まるまではかなりキツかった。しかし、このレベルのレースで逃げに乗れ、他のプロ選手たちと普通にローテーションを回すことができたことは、かなり良かったと思っている。まだまだ力が足りないというのはわかっているけど、自信になった。
初めて経験するプロのレースは、とにかく勝負がかかったときのペースが速いという印象。周りの元プロ選手から、プロのレースがどんなものかと話は聞いていたが、走ってみないとわからないことが多く、走り方が全然違うと感じている。たとえば、アマチュアのレースはいつまでもアタックが続くということがあるけど、ここでは逃げができたら、強いチームがコントロールして一度ペースは落ち着き、最後に勝負がかかるとえげつないくらいにスピードが上がる。本当にプロのレースは速くて、選手たちはみんな強い!
やるからには100%真剣にやりたいと思って始めた自転車競技。プロの世界を知れば知るほど、プロになりたいという気持ちが強くなり、めざすべきところが、ぼんやりとしていたのが、はっきりとしてくる。最初はスペインのアマチュアのレベルでも絶望的に感じていたが、一つ一つステップアップを重ねたことで、アマチュアではトップクラスになれた。来年のことはまだわからない状態で、周りには強くてもプロになれない選手が大勢いるため、プロになることがどれだけ大変かよくわかっている。そのなかでチャンスをもらえたことはありがたいと思う。これからも目の前の課題を一つずつクリアしていきたい。今は調子がいいので、調子が良いときに、いい結果を出して、次につなげていきたい。